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旅宿人 [フランス便り]

まだ,数ページしか読んでいないが,
早くも,記事にしてしまった.

木村尚三郎:『パリ 世界の都市の物語』,文藝春秋社,1992.2.

p.17
 (パリでは)誰もが旅する生活者,生活する旅人だからであり,
 旅宿人文化が身についているからである.
 つまりは,旅が日常化しているのである.

渡仏する前に,古本屋で偶然見つけて,
安野光雅さんの装幀が好きでたまたま買った本だったが,
大正解の気配.

Parisに来て約一ヶ月,少しづつ今までのFranceやParisに
対するイメージが違ってきた,肌でParisに住まうことを感じ
始めた今,この本に書いてあることは,僕にいろんなことを
考えさせてくれる.

最初の数ページ,木村先生はフランス人,特に
パリジャンやパリについて,書いている.
パリの人々は,世界一人情深いそうだ.

当初,東京と一緒,だって首都だもの,とタカをくくっていた
Parisの人たちの態度も,徐々にその真実が見えてきた
ように思う.ほんとに,Parisにはいろんな人がいる.
肌の色も服装も,行動も言語も,ありとあらゆる人が
みな,Parisienとして振る舞っている.

一見,日本人と見まごうような中国系の人が,
流暢なフランス語を話している.で,
restrant japonaise で,SUSHIを持ってくる.
彼らは,自分たちを,きっとParisienと思っているだろう.
ローラン・ギャロスでも,真っ黒な肌の選手が三色旗を
掲げ,サッカーでもラ・マルセイエーズを歌っている.

以前,香港を旅した時に,いかにも英国系と中国系の
二人が,肩を組んで,「我ら,香港人!」というような
ことを話していたことを思い出した.

僕や妻や娘も不安に思っているが,きっと
彼らだって,それなりに不安な面も持っていそうだ.
自信満々で,Parisienだって言う人も中には
いるだろうけど,大勢の人は,旅宿人だからこそ,
「自分はParisienだ」と強く思わねば,やって
られないのではないだろうか.

この「旅宿人」という言葉,今の僕の心境をとても
よく表してくれている.

木村先生は,
p.14
 誰もが旅人的生活者であるからこそ,よそ者とうち者の
 区別がない,そのような旅人的生活者のことを,かつて
 江戸時代の大思想家,荻生徂徠(おぎゅう・そらい)は
 「旅宿ノ境界(境遇)にある(「政談」)」といった.
と説明している.

僕は,今回,地域らしさと観光の結びつきについて
研究しにきているつもりだが,そもそもは,普通の
まちのすばらしさ,どこにでも美しい風景やわくわく
する出来事はある,ということを確かめにきた,とも言える.

このブログのタイトルは,そういう意味もあって,もともと
旅するように,(自分の住んでいる)まちを見てみる,
一見,普通のまちを,旅するように歩いてみる,
というようなニュアンスで,つけた名前であった.

実際,いろんなマチをタビしているので,
そういうことを忘れかかっていたが,
木村先生に教えてもらったように感じた.

Parisで,「パリ(の物語)」が読める幸せ.

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Hitomi

面白そう。私もその本読んでみます。
オーストラリアに関する本は少ないから、うらやましいです。
私も渡豪してから約1年、住みながら旅している気分です。納得。
by Hitomi (2009-06-04 10:14) 

naoto

Hitomiさん
ありがとうございます.残念ながら,オーストラリアの
都市はありませんが,他にも世界の諸都市があります.
「パリ」は,その第一巻です.
きっと,世界中を旅してきたHitomiさんなら,共感する
部分が多いのではないでしょうか.
by naoto (2009-06-05 03:19) 

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